散文詩

    夜は静かで、美しく、何も語らない。

    語るのは人のみ。多くの言葉によって、物語は紡がれていく。イエスという人がいた。または、釈迦という人がいた、船があった。というように。語られるのは美しさだけではなく、憎しみや醜さもまた、言葉によって発せられる。多くの感情がきっかけで人々は戦い初め、今日も世界の何処かで戦争をしている。私も何かに対して戦い始めてしまう。

    静かに生きよう。と、そう思っていても、この世界に生きるためには人と接しなければいけない。人と接するということは、そこから何かが生まれるということで、そのことから逃げることは、何人たりともできない。人と接しなければいけない此の世の中で、私はあまりにも無防備だった。傷つきたくないから、逃げ、触れ合いたいから、寄っていく。寄って行っても、ハリネズミのように、お互いの棘で刺し合う。耳と目を閉じ、口をつぐんで孤独に暮らそうと、何度か思ったが、いや、今も悩んでいる。口をつぐんで暮らそうかと。

    窓のない部屋で、静かに流れる音楽を聞きながら、考え続けている